矛盾する質疑応答事例の存続
歩道状空地の評価について、国税庁は、最高裁判決を受け、一定の要件を満たすものについて私道供用宅地として評価する取扱いを示す一方で、公開空地については、現在も「建物の敷地として評価する」とする質疑応答事例をそのまま残しています。
評価の原理の根底にある完全な所有権
完全な所有権には、所有物の使用、収益及び処分をする権利があります。私有地でありながら、その一部について一般人の利用を継続的に受忍することが求められるのであれば、所有権に一定の制約があることになります。
その制約が市場における土地の取引価格を低下させるのであれば、それは相続税法22条の「時価」、すなわち客観的交換価値の問題として検討されるべきとなります。
最高裁の考えと当てはめ
歩道状空地は、公共的利用によって所有者の権利が制約され、その制約によって客観的交換価値が低下しているから、その低下は財産評価に反映されるべきとしているのが、最高裁判決の考え方です。
最高裁は、その考えの当てはめとして、具体的案件の①都市計画法所定の開発行為、②インターロッキング舗装、③第三者による自由な通行、という3つの個別事情を列記したのです。
したがって、その3つの個別事情は、最高裁の考えとしての十分条件の開示であるものの必要条件というわけではありません。
公開空地については様子見か
日常一般に公開され、第三者の利用を予定し、所有者の独占利用ができない、という点では、歩道状空地と公開空地に相違はありません。
そうであれば、「建物を建てるために必要な敷地を構成するもの」という制度上の説明だけで、公開空地を評価減の対象外とすることに、なかなか納得できるものとは言い難いところです。
しかし、公開空地の概念に含まれるものには、①歩道状空地、②屋内外貫通通路、③アトリウム、④水辺沿い空地、⑤広場状空地、⑥植栽・花壇、⑦池泉噴水、⑧公衆便所等、⑨建築物の低層屋上面、⑩サンクンガーデン、⑪ピロティ、⑫その他、と多様な物があり、評価の基準作りも容易ではないと思慮されます。とは言え、①の歩道状空地以外にも、所有権制約への配慮は必要です。