法人が償却資産の用途を変えた場合
事業を行っていると、減価償却資産の用途を当初とは別の用途に切り替えることがあります。例えば、店舗として使用していた建物を事務所としての使用に変えるケースです。これを「転用」といいます。ここでは、法人が減価償却資産を「転用」した場合の償却計算を少し整理してみましょう。
<事例> 製造業(3月決算法人)
| 木造建物(取得価額200万円)を事務所として使用していたが、改造を行い、当期7月から倉庫として使い始めた。
(定額法の耐用年数・償却率) ・木造事務所24年(0.042) ・木造倉庫 15年(0.067) |
⑴ 原則(区分計算を行う)
転用した資産は、転用以後は、転用後の用途の耐用年数で償却限度額を計算します。この場合、転用初年度の償却限度額は、転用前後の期間に区分し、各々の耐用年数の償却率で算定した額の合計額になります。
<事例>では、次のように計算します。
| (6月まで)200万円×0.042×3月/12月(7月以後)200万円×0.067×9月/12月
合計=121,500円 |
⑵ 特例その1(区分計算を行わない)
通達では、区分計算を行わず、期首から転用後の耐用年数を用いることが認められています。<事例>は次のようになります。
| (期首から)200万円×0.067=134,000円 |
この特例は、転用資産の全部について、転用後の耐用年数によることが条件です。その法人につき同一事業年度で2以上の転用資産がある場合には、資産ごとに使い分けることができませんので注意しましょう。
⑶ 特例その2(定率法の場合)
転用資産が「定率法」を採用している場合には、別の特例があります。この場合、転用後の耐用年数が転用前より短く、転用前の限度額に満たないケースでは、転用前の耐用年数で償却計算ができます。
取得後3年以内の転用は消費税にも注意
固定資産を転用した場合には、消費税の取扱いにも注意しましょう。消費税については、調整対象固定資産(税抜100万円以上)を取得後3年以内に課税・非課税用途間で転用した場合は、仕入税額控除の調整が必要となります。また、居住用賃貸建物を一定期間内に課税用へ転用した場合は、控除額が追加できる仕組みもあります。