今さら「DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か」とお思いの方も多いでしょうが、実際にはまだ誤った使われ方も見かけます。最も多い誤解は「DX=デジタル化」というものではないでしょうか。
日本でDXという言葉を広めた一人でもある経営共創基盤グループ会長冨山和彦氏の書籍から引用して要約すると「DXとは、新しい働き方、生き方、稼ぎ方にデジタルを使って変えること」となります。
では、なぜこれらを変えること(DX)が必要なのでしょうか。
それは、時代が変わり社会が変わり今までのやり方を続けると企業は顧客や従業員、銀行などの利害関係者から選ばれる存在でなくなる、つまり企業の存続が危ぶまれることになりかねない危機感があるからです。
「自社においてDXを進めるうえで課題と感じることは何ですか」という問いに対して必ず上位に上がるのが「自社に対応できる人材がいない」「必要なスキルやノウハウがない」というものです。
そこで最近注目を集めるのが「リスキリング」です。
リスキリングはまだ研究途上でまだ明確な定義が定着していませんが、ここでは
①自動化などで生じる仕事の転換に適応するためのスキルを習得させること
➁企業の視点からは「全ての従業員を対象とする」もので、いわゆる高度デジタル人材の育成とは分けて考える
とします。①についてはイメージできると思いますが、②でなぜ「全ての従業員を対象とする」としているのでしょうか。
それは、企業が本格的にDXを目指せばバリューチェーン上のあらゆる場面で仕事のやり方や職務が変化します。さらに業務の非効率さを実感し、また顧客の声に最前線で接する従業員が仕事の課題とデジタルの知識を掛け合わせて、解決策を提案・推進することが今後とても重要になるからです。
これら①及び②からリスキリングは、企業が主導して全従業員を対象に行う必要があることがお分かりいただけるのではないでしょうか。