総務省が、65歳以上の高齢者の人口、就業について公表しています。高齢者の人口は2022年9月で3627万人、総人口に占める割合は29.1%です。国際的にみても日本は高齢者人口の割合が世界で最も高く、次いでイタリア(24.1%)、フィンランド(23.3%)となっています。
75歳以上人口は、総人口に占める割合が初めて15%を超えました。これは、いわゆる「団塊の世代」(1947年~1949年生まれ)が2022年から75歳を迎え始めたことによると考えられます。
また、高齢者の就業者数(2021年)は909万人(前年比6万人増)、18年連続で過去最高になっています。就業率も65歳以上の人口に占める就業者の割合は25.1%となっています。主要国の高齢者就業率は韓国(34.9%)に次いで日本は高い水準です。
高齢就業者を地位別にみると役員を除く雇用者が517万人(57.6%)で最も多くなっています。雇用形態別では非正規の職員・従業員が393万人(75.9%)となっています。
総務省の労働力調査に現れた高齢者就業率は増えていますが、一方でスポーツ庁の2021年運動能力調査では高年齢者の体力の低下傾向が顕著であることがわかりました。
特に65歳~74歳の男性の体力低下は過去10年間で最低を記録。週1日以上運動している人の割合もこの年齢層では減少していました。コロナの影響もあったかもしれませんが、以前のように運動習慣の広がりが体力向上につながっていた流れは頭打ち傾向にあるといえます。
高齢者の体力の低下は労働災害の増加につながり、もともと若年層より労働災害発生率は高いのですが身体機能の衰えもあり今後も労働災害が増えるかもしれません。
企業としては高齢者の体力低下を念頭に安全に働いてもらえる職場作りが必要です。
特に意識して対策したいのは「転倒災害の防止」です。職場内の段差をなくしたり、通路を整頓して歩きやすくするなど対策を行うとともに、厚労省の「転倒リスク評価セルフチェック票」等も使って高齢者が自分でも身体機能の状態を知っておくことで注意を心掛けてもらうことが有効でしょう。