2023年5月31日、2065年までとしていた高速道路の料金徴収期限を50年延長し、2115年までとする改正道路整備特別措置法が参院本会議で可決成立しました。
日本初の有料高速道路は1963年開通の名神高速道路で、当初は借入金で道路を作り利用者が払う料金で返済を終えたら料金は無料になるという計画で、有料の期限は25年とされていました。しかしながら利用料金については高速道路の新設や整備に回されるようになり、有料期間は何度も延長が繰り返されました。
実際に昭和40年代以降、この制度で日本中に高速道路網が作られ、物流の動脈として高度経済成長を支えたのも事実です。ただし、高速道路の整備を料金だけで賄うのは難しく、当時の日本道路公団の借入金は約40兆円にまで達していました。
体質改善のため民営化に踏み切ったのが2005年、この時の返済期限は2050年と法律で定められました。しかし笹子トンネル天井板崩落事故により老朽化リスクが浮き彫りになり、更新事業費確保のため、返済期限が2065年となります。そして今回、「想定以上の損傷が進んでいる」として2115年までの料金徴収期限の延長となりました。今生きている人のほとんどが亡くなるまで、高速道路は有料ということになります。「本来無料」という建前の方を何とかした方が手間がかからないので良いのでは、と思ってしまいます。
現在自動車にかかる税金は、自動車/軽自動車税・自動車重量税・環境性能割・消費税・ガソリン税などです。自動車重量税は国の道路整備を行うための道路特定財源として生まれ、ガソリン税も同様に本来の税率よりも高い税率が課せられていました。
2009年に道路特定財源が廃止され、使い道は道路整備等に限定されない一般財源となったのですが、引き続き徴収が続いています。
なんだか道路関係の計画や財源、徴収の約束事については全般的に杜撰というか、建前を維持することに終始しているように見えてしまいます。生活に必要なものだからと言って、この状態で良いのでしょうか。