昨年は30年ぶりの高い水準での賃上げがあり、地域別最低賃金の全国加重平均は時給1,004円と初めて千円を超えています。
短時間労働者(パートタイマー等)の時給も上がっているのですが、浮上しているのが年収の壁問題です。
日本では2040年にかけて生産年齢人口が急減し、社会全体の労働力確保が大きな課題です。企業の人手不足感は、コロナ前の水準を超え、中小企業の65%は不足超過になっています。多くの人に長く働いてもらうために、政府は新たな社会保険加入者に保険料を補助する「年収の壁・支援強化パッケージ」を創設、支援を始めました。
企業では年収の壁に関係する手当が「配偶者手当」です。配偶者手当と年収の壁にどのような関係があるのでしょうか?
令和4年職業別民間給与実態調査によると家族手当がある事業所は75.3%、そのうち配偶者手当は73.3%が支給されますが、収入制限有は46.3%、103万円の壁はいまだに21.6%あるということです。
例えば夫の会社の配偶者手当を受け取るために他社で働いている妻が手当の受け取りの収入基準がいわゆる年収の壁として就業調整の一因となっています。そして有配偶者のパートタイム労働者の21.8%は税制・社会保険制度、配偶者の勤務先で支給される「配偶者手当」などを意識し、年収を一定額に抑えるために就業時間調整を行っています。共働きが増えている現在配偶者手当を支給する企業は減少傾向にありますが、働く意欲のある人が「年収の壁」を意識しないで能力発揮できることは人手不足解消の一助にはなるでしょう。
手当の見直しには手順を踏まえましょう。
具体的には以下のような例があります。
○配偶者手当廃止(縮小)+基本給の増額
○配偶者手当廃止(縮小)+子供手当の増額
○配偶者手当廃止(縮小)+資格手当の創設
○配偶者手当の収入制限の撤廃