多くの企業が悩む慢性的な人手不足に付け込んだトラブルを耳にするようになりました。無料での求人広告の掲載を持ち掛け契約をさせ、後から高額な請求書が送られてくるといったトラブルが発生していて、日本弁護士連合会でも注意喚起のサイトを設けています。
巧妙に有料であることを隠しながら勧誘から契約まで行われ、後日になって高額請求のトラブルに巻き込まれたことがわかるケースが多く、このようなトラブルに巻き込まれないための自衛が必要です。また、万が一トラブルに巻き込まれてしまった場合の対抗手段を知っておくことも必要です。
実際にあったトラブルの例を参考に、次のような記載がある契約書には注意が必要と言われます。「1枚の申込書に無料プランと有料プランがまとめて記載されている」「無料から有料への移行時に案内はしない旨の記載がある」「申込書の下部などに他の文字より小さい文字での注意書きや利用規約が記載されている」「連絡方法がFAXやメールに限られている(電話での対応はしない)ことが記載されている」などです。
このような業者からの請求に対して、請求に応じないための対抗手段には、次のような法律を使うことが考えられます。
①「有料での契約の意思表示はしていない」として、そもそもの契約が不成立であることを求める②「騙されて締結した契約である」として、詐欺での取消(民法96条1項)を求める③「すべてが無料と勘違いをして締結した契約である」として、錯誤取消(民法95条1項)を求める④「契約内容が一般常識から乖離している」として、公序良俗違反(民法90条)を求める⑤契約が「利用規約形式」の場合には、みなし合意解除規定(民法548条の2)を用いて、そもそもの契約が成立していないことを主張することも考えられます。
実際に督促状が届いたり、こちらからの問い合わせに反論をされたりすると、慌てて支払いに応じてしまうケースもあります。「おかしい」と感じたら、落ち着いて考え必要に応じて専門家に相談しましょう。