賃金計算で同じ日や同じ賃金計算期間の間に年次有給休暇の取得、残業の両方が発生した場合、どのように処理するとよいでしょうか?
年次有給休暇は勤務日のある日は所定労働時間を勤務したものとして賃金計算をします。月給制は年次有給休暇を使って休んでも計算には影響ないと思いますが、日給であればその日に働く予定であった1日分を乗せて計算しますし、時給であればその日に働く予定であった所定労働時間分で計算します。基本的な考え方は「年次有給休暇1日分=休暇を取得したその1日の所定労働時間分の賃金の価値」となります。
半休は労働基準法上の義務ではないものの利便性を考えて半休制度を設けている企業は多いでしょう。半休は「その日の所定労働時間の半分」の価値があるということになりますが、実際には昼休みを挟んだ午前・午後で運用しているケースもあります。普通それぞれの労働時間は異なりますが、運用上は問題ありません。就業規則などで半日有休の定義を入れておくことが良いでしょう。
半休を取得した日に残業をした場合はどのような取扱いになるでしょうか?
所定労働時間を超えて働けば通常の賃金は必要ですが、実際の労働時間が始業時から見て法定労働時間を超えない限り割増賃金は払う必要はありません。例えば8時~17時勤務(休憩12時~13時)で午前中8時~12時に半休取得し、午後13時~17時まで勤務した後17時から19時を残業したとしても実労働時間が6時間で8時間以内なので超過勤務分は割増なしで通常の賃金の分を支払えば足ります。
日ごとに変わる所定労働時間の変形労働時間制の場合も1日に対応する所定労働時間で変動はしますが、半日に相当する有給休暇の時間単位付与という取り扱いになりますので、労使協定により年5日までとなります。時間単位有給休暇を使用しないならば半日の所定労働時間を規定で決めておくことが良いでしょう。