人手不足が深刻化する現状において、企業の考え方も変化せざるを得ない状況になっています。従来の「自社の求める条件にあった人材」にだけ固執しては、人手不足の問題の解消にならず、採用に関して幅広く捉える必要が生じています。幅広く捉えるとは、性別・年齢・国籍のような属人的なものに限らず、雇用形態やキャリアといった経験や働き方をも含んだ考え方になります。今回はそうした中で、主に「就労経験はあるがブランクのある人材」に焦点を当てて、その特徴やポイントを踏まえ、これらの人材を自社で採用するにはどのようにしたらよいのか考察したいと思います。
一口に「就労にブランクのある人」といっても、そのブランクの理由は人によって異なります。主なものには「出産・育児」「家族の介護」「自身の病気やけが」「資格取得やスキルアップのための自発的離職」などが挙げられます。また、ここには、1993年~2004年に学校を卒業した人で、卒業時に正社員としての就職機会に恵まれず、非正規として長く働いてきた、いわゆる就職氷河期世代を含むことがあります。
子育て等の理由によりブランクのある人の強みは、ブランク前の就労経験により、一定程度の社会人としてのマナーや職業人としての基本スキルを身につけていることです。さらに子育てや介護の経験は、仕事にも通じるスキルになります。子供や家族の急病や容態変化等の不測の事態への対応や、PTA活動などの経験も仕事に役立てることができるスキルになります。一方の課題としては、そのブランクの期間に、デジタル化の急速な進化など仕事を取り巻く環境が大きく変化していることが挙げられます。
この世代の強みとしていわれるのは、非正規での就労経験が長いことから「正社員になることで働く意欲(モチベーション)が高まる」ことが挙げられています。一方の課題としては、キャリア形成不足や不安定な雇用が続いたことによる「安定志向」や「マイペース型」であることが指摘されています。