貝塚や住居跡、古墳などの遺跡は全国で約46万か所あり、毎年9千件程度の発掘調査が行われているそうです。自治体は既に発見されている遺跡の分布図を公開しており、これらの地域でマンションや商業施設などを開発するときは文化財保護法の規制を受け、工事期間にも影響が出てきます。
埋蔵文化財が周知されている土地(「周知の埋蔵文化財包蔵地」といいます)を土木工事により発掘しようとする場合は届出して、必要があるとされたときは、試掘調査、発掘調査、現状保存などを行います。また周知の埋蔵文化財包蔵地以外で遺跡を発見したときは、現状を変更することなく、遅滞なく届出が求められます。
国税庁は、平成16年7月、土壌汚染地の評価について取扱いを公表しました。その後、周知の埋蔵文化財包蔵地について減価を認める裁決事例や、設計変更により発掘調査の必要がなく減価が認められなかった裁決事例などを受け、令和6年7月、埋蔵文化財包蔵地についても新たに土壌汚染地の評価に準じた評価方法が示されました。
原価方式による評価方法では、路線価等による「文化財がないものとした場合の価額」から「発掘調査費用に相当する金額」を控除します。文化財がないものとした場合の評価は、地価公示価格水準の8割程度とされるため、発掘調査費用についても見積額の80%相当額で評価します。見積りは最も合理的な方法によるものとされます。
周知の埋蔵文化財包蔵地に該当しない場合であっても文化財が出土して経済的負担が生じる可能性がある場合、周知の埋蔵文化財包蔵地に隣接する場合、一定の面積以上の開発が行われ、試掘調査や発掘調査を実施する場合には埋蔵文化財包蔵地の評価の適用の可能性があるとされています。
一方、埋蔵文化財の存在する可能性が潜在的な段階では埋蔵文化財包蔵地として評価できないとされています。また、土地所有者に発掘調査費用の負担がない場合、対象地域で発掘調査費用が生じることの確実性が低い場合も発掘調査費用はないものとして取り扱われますので注意が必要です。
なお、個人が自己の専用住宅を建設するときの発掘調査費用は公費負担となります。