国税局(税務署)は、納税者や同業者団体からの個別の取引等に係る税務上の取扱いについての照会に対して、文書による回答をしています。例えば複雑な取引で、想定される税務上の処理に問題がないかどうかを取引先から問われ、証明するために文書照会を行うケースや、「扱いについて先例がないため利用したい」と関与税理士からの要望で照会するケースなどでの利用が考えられます。
照会内容については、同様の取引等を行う他の納税者の予測可能性を高めるために、国税庁のWebサイトにて公表をしています。令和4年4月からはe-Taxでも文章回答手続を行うことができるようになっています。
文書回答の対象となるものは「取引等に係る国税の申告期限前の事前照会であること」なので、以下の内容は対象となりません。
①照会の前提とする事実関係について選択肢があるもの
②調査等の手続・徴収手続・酒類行政関係
③個々の財産評価や取引価額の算定・妥当性の判断
④実地確認や関係者等への事実関係の認定が必要なもの
回答については「受け付けた日から原則3か月以内の極力早期に行うよう努める」としているので、申告期限との兼ね合いも厳しいものとなっています。また、前例がなくとも模範となるような案件でない場合、文書回答せずに、口頭での回答にとどまるケースもあるようです。
国税庁電話相談や、予約を取り税務署に行き面談での照会・回答等、他にも国税について相談できる窓口があります。手続の煩雑さを考えると、こちらを選択するケースの方が多いのも納得です。
文書回答手続については、口頭相談等では後の調査で否認される可能性も予見される取引等の「相談実績」という保険の意味合いが強いものかもしれません。