企業で加入する企業型確定拠出年金DC(企業型)で約112万人分の年金資産(積立額)が運用されずに放置された状態になっていることが、国民年基金の調べによりわかりました。加入者(従業員)が転職・退職時などに必要な手続きを取らなかったことで国民年金基金に自動移換され、公表記録のある2017年度末から2021年度末でその数は1.5倍に増え、総額は約2600億円に上るということです。
DCでは原則60歳までは資産の引き出しはできません。従業員が60歳未満で中途退職して企業型DCの資格喪失をした場合は
①他の企業型DCに資産を移す(移換)
②iDeCo(個人型)に資産を移す
と2つの方法があり、これを「ポータビリティ」といいますが、DCでは転職・退職に伴う手続きを自分で行う必要があります。
資格喪失後6か月以内に移換手続きをせずに放置しておくと自動的に売却・現金化により国民年金基金連合会(または特定期間運営管理機関)の口座に移換されます。
自動移換されると国民年金基金連合会や特定運営管理機関の手数料が毎月かります。資産運用の指図や給付金請求もできません。また、加入期間の通算もされません。
ただし、自動移換されても他のDCに切り替え手続きを行えばそちらに移換できます。
加入者が60歳未満で中途退職した場合、企業が加入者の資格喪失手続きを行うと10日後位に資格喪失した通知が自宅に届きます。通知は今後の移換に必要な情報が記載されているので大切に保管しておきます。
①転職先の企業型DCに移換する時は必要書類を取りよせ記入後転職先に提出します。
②転職先に企業DCがないか自営業者、専業主婦(夫)になる場合、iDeCoの口座を開設します。加入申込書と「個人別管理資産移換依頼書」を提出し、さらに会社員や公務員がiDeCoに加入する場合は事業主の証明書も添付し、運営管理機関に提出します。手続き完了には2か月近くかかります。
企業の担当者は従業員の退職時には企業型DCの資産移換についても忘れずにアドバイスをしてあげましょう。