厚生労働省の雇用動向調査によると2022年の介護を理由とした離職者は106,000人、そのうち男性は26,000人、女性は80,000人、女性が多いのは夫婦で収入の少ない女性が介護を担うケースが多いからと思われます。年齢別では男女とも55歳~59歳が最も高い層です。一方、働きながら介護をする人は365万人、10年間で70万人増加、働く人の5%に達しています。仕事と両立しながら介護する男性は55歳~59歳が最も多く87.8%、女性では40歳~49歳が68.2%と最も多い層です。
原則として育児介護休業法に基づき「要介護状態」の家族を介護する会社員は「介護休業」を取得することができます。
要介護状態とは負傷、疾病などにより2週間以上常時介護を必要とする状態を言います。対象は配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。
休業できる期間は対象家族1名につき要介護に至るごと3回、通算93日まで利用できます。休業予定日を会社に申し出る必要があります。
また介護休業取得の期間、無給であれば雇用保険被保険者は「介護休業給付」が休業開始前の給与水準の67%支給されます。
介護離職を防ぐため国が設けたのが「介護休業」制度です。しかし介護休業制度利用者は厚労省の調査でも数パーセントということです。なぜ利用が進まないか、介護をしながら働く人に理由を尋ねると最も多かった回答は「勤務先に制度が整備されていない」というもので37%ありました。
介護休業は国で定めた制度なので権利がないということはなく、要件を満たせば取得できるものです。周知不足による制度を知らないという回答も3割はいるそうです。一方には会社としてあまり浸透してほしくない気持ちもあるかもしれません。
中小企業では両立支援助成金の介護離職防止支援コースが申請できます。介護休業を取った時、代替要員を雇用した時、所定外の労働時間制限や、時差出勤、短時間勤務制度などプランに基づいて行われた時は助成金が受給できます。制度利用させるときは助成金を利用してみてはどうでしょう。