メンタル不調等に起因する精神疾患を発症する人口は、年々急速なペースで増加しており、4人に1人が、生涯において何らかの精神疾患に至るともいわれています。精神疾患は想像以上に身近のものであるとの認識が必要です。また、企業においては、「自社にも精神疾患(前兆としてのメンタル不調)を抱えている従業員がいるかもしれない」という認識を持ち、特にその従業員自身には自覚症状がない場合なども想定した適切な対応が求められます。
これらの言動が見られたら、「メンタル不調を疑う必要があるかもしれない」という事例をいくつか挙げます。
「パフォーマンスの低下」
・仕事のミスが増えた、または、仕事が遅くなった(同じミスを繰り返す、締め切りにルーズになったなど)
・遅刻・欠勤が増えた
・勤務時間中の居眠りが目立つ
「見た目や言動の変化」
・外見の変化(清潔感、服装や表情など)
・言動の変化(ぼんやりしていることが多い、急に攻撃的になるなど)
メンタル不調が疑われる従業員に対して、会社が採るべきスタンスは、疾病性ではなく事例性にフォーカスすることです。
疾病性とは、病状など専門家が判断する分野です。対して、事例性は先に挙げた、「パフォーマンスの低下」や「見た目や言動の変化」という、職場内で問題となっている事象のことです。専門家でない者が、疾病性を焦点として介入を試みると、相手からの反発を買うなどして、今後の適切な支援の機会を失う可能性もあります。あくまでも、職場においての事例性の有無を確認し、本人の自覚(問題意識)を芽生えさせるアプローチが必要になります。
具体的には、変化に気付いたら早めに声をかけることが重要であるとされます。繰り返しになりますが、我々は医療の専門家ではありません。症状などを詳しく聞く必要はなく、まずは、仕事に支障が出ている事実や体調について確認します。それに対する従業員の反応を、否定せず受け止める姿勢で聞きます。必要ありと判断する場合には、話を聞いた結果を産業医などの専門家につなぐようにします。