取引先の訃報を知り、故人を偲んで供花を遺族に贈るとき、お花を買って贈ると消費税が課税されますが、フラワーギフト券を購入して贈ると消費税は課税されません。
ギフト券など商品券の販売に係る消費税の扱いは資産の譲渡等に該当しますが、非課税です。これは、ギフト券の販売が前払金的な性格を有していること、消費税は実際に物品の引渡しが行われたときに課税されるため、ギフト券販売時にも課税すると二重課税となるので回避したいためとされています。ギフト券と引き換えに商品を引き渡すとき、販売店は売上に係る消費税額から仕入れに係る消費税額を仕入税額控除します。
企業会計においても商品券の販売は、商品を引き渡したときに売上計上する販売基準(実現主義)によります。商品券を発行したときは、預り金として計上し、商品引渡し時に売上に振替える処理を行います。収益認識基準では、商品券発行者と購入者との間で、将来、商品と引き換える約束をしているため、商品を引き渡す履行義務の充足まで契約負債として計上します。
法人税は収益認識基準の導入前まで、商品券の発行時の売上計上を原則とし、例外的に引渡し時に販売基準による売上計上を認めていましたが、収益認識基準の導入により、商品を引き渡したときに売上計上する販売基準が原則となりました。
また、引換未了の商品券については、発行日から最大で10年を経過する日の属する事業年度終了時の引換未了残高等を益金の額に算入することとされています。
フラワーギフト券の運営会社は、全国のフラワーショップから加盟店を募集して発行したギフト券を販売してもらいます。加盟店は顧客からギフト券の提示を受け、花を引き渡し、運営会社から販売代金を回収します。
ギフト券を発行して加盟店に卸す運営会社の消費税は、資産の譲渡等に該当せず、不課税、加盟店が販売するギフト券は非課税、引換未了のギフト券の収益計上も資産の譲渡等に該当せず、不課税、ギフト券と引換えに販売する花の代金は課税となります。ギフト券は言わば花を顧客に引き渡すまでの媒介者という役どころでしょうか。