厚生労働省はデジタル通貨での給与支払い(以下「本制度」)について、2023年の4月に解禁することにしています。実際に導入するかしないかは会社ごとに制度のメリット及びデメリットを考慮して慎重に検討することが必要でしょう。今回は実際に導入を決めた場合の導入までの流れをお話しします。
①従業員への意見聴取
大前提として本制度を導入するかしないかを決めるのは会社です。本制度導入前に従業員から「自分にはデジタル通貨で振込んで下さい」と要望があっても会社は断ることができます。しかし若年層を中心に本制度を希望する従業員が増えることも予想され、今後の既存従業員の定着や新規の採用等を考えると、会社として導入を検討する必要がでてくるかもしれません。そこで、まずは(導入のメリット及びデメリットを考慮した後)既存の従業員に「デジタル通貨での給与の支払いについて」意見を聞いてみることは重要になります。希望者が多数いる場合には、より導入する方向へ舵を切る必要があるかもしれませんし、そうでない場合には、そのまましばらく様子を見るということも考えられます。
②従業員への説明と同意
本制度を導入するには、従業員に次の各項目について説明をして同意を得ることが必要になります。なお、説明については、厚生労働大臣の指定を受けた指定資金移動業者に委託をすることが可能になりますが、同意については会社自身が従業員から得る必要があります。
給与の支払い方法の変更は、労働契約の内容の変更になりますので、就業規則や労働契約書の内容の変更や、新たな労使協定の締結が必要になります。