会社で働く者にとって報酬の対価は、給与や賞与ですが、これを自社の株式の交付を受ける権利として取得できるのがストックオプション制度です。会社の業績が向上し、株価が上昇すれば値上がり益を享受できるので労働意欲を高め、成果を出そうとするインセンティブが働きます。
ストックオプションが付与されるのは、自社又は子会社の取締役、執行役、使用人の他、社外の高度人材(博士、高度専門職、企業の役員経験者、弁護士等)も対象となります。これは優秀な外部協力者にもインセンティブを与えてスタートアップの成長を促すそうとするものです。
会社から受ける給与、賞与は、給与所得金額の計算において収入金額となりますが、ストックオプションのように、金銭以外で労務の対価として受ける経済的利益についても給与所得の課税対象となり、源泉所得税が徴収されます。
ストックオプションは譲渡制限が付されていますので、付与時には課税されず、経済的利益を享受する権利行使時に課税されます。そして株式を譲渡したとき、譲渡価額と権利行使価額(払込価額)との差額は、譲渡所得等として課税されます。
次の要件を満たす税制適格ストックオプションとなる場合、権利行使時の給与所得課税は繰延べられ、譲渡時の株価と権利行使価額との差額が譲渡所得等として課税されます。譲渡所得は申告分離課税で税率20.315%ですので、給与所得を含む所得に課される税率がそれ以上であれば税制適格ストックオプションにメリットがあります。
締結時の1株あたり価額相当額以上