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資産・負債調整勘定(のれん)の税務

非適格組織再編で生じる「のれん」

 非適格合併、非適格分割、非適格現物出資などの組織再編行為や事業譲渡が行われた場合、移転を受けた負債の時価評価額と交付した組織再編対価(株式や金銭等の額)の合計額が移転を受けた資産の時価評価額を超えるときは、その超える部分の金額は、資産調整勘定(のれん)になります。

 逆に、超えるのではなく、満たない場合には、その満たない部分の金額は、負債調整勘定(のれん)になります。

 なお、資産の時価評価に於いて認識される営業権については、独立した資産として取引きされる慣習のあるものに限られます。

税法「のれん」の償却

 資産調整勘定・負債調整勘定の金額は、5年間において、次の算式での金額を減額しなければなりません。

  調整勘定当初計上額×事業月数÷60

 そして、その減額すべきこととなった金額は、各事業年度において損金の額、益金の額に算入されます。

 この5年間の意味は、営業権の耐用年数の5年に平仄を合わせたものです。なお、営業権の償却は無形固定資産の減価償却なので損金経理要件の対象となりますが、資産・負債調整勘定の損金・益金算入については、計算明細書の添付は要求されているものの、損金経理。益金経理要件はなく、強制適用です。

税法「のれん」の発生条件

 なお、個別資産が移転して「のれん」が生じることは通常考えられません。事業全体が一体として移転するからこそ、そこに超過収益力が内在していて、それが「のれん」になると考えられます。

 それ故、被合併、分割、現物出資、事業譲渡の法人が、その直前において営む事業およびその事業に係る主要な資産・負債の概ね全部を組織再編承継法人、事業譲受法人に移転する場合に限り、「のれん」に係る特例の適用可との要件になっています。

「のれん」についての今年の税制改正

①移転を受ける資産及び負債の価値が等しくなる場合等で無対価の時の調整勘定算定方法の適正化、②資産超過なのに資産評定せずに対価省略としている時の処理の方法の適正化、が今年の税制改正内容でした。

①については、資産調整勘定「のれん」の計上、②については、資本金等の額の計上、を要するものとされました。

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