トランプ関税ショックで146円台に
最近の為替は読めません。昨年(令和6年)の米ドル円の最高値は7月の1ドル=161.99円でした。日経新聞の記事では「23年末には市場参加者の多くは、24年は円高進行と見ていた」そうです。ふたを開ければ約34年ぶりの160円台をつけ、政府・日銀による過去最大規模の円買い介入が入った年となりました。大勢の専門家が予測しても大きく外すのですから、本当に難しいご時勢です。今年(令和7年)4月2日には、トランプ米大統領が相互関税を発動すると発表したことにより、今度は円が大幅に上昇。1ドル=146円台となりました。
外国為替相場が著しく変動した場合
もし、1ドル=160円で取引したものが、1ドル=145円になったとしたら、15%以上変動したことになります。このような時期に決算に当たってしまった場合、法人税法では「外国為替の売買相場が著しく変動した場合の外貨建資産等の期末時換算」の取扱いを受けることができます。
法人が期末に有する外貨建資産等に係る外国為替の売買相場が著しく変動した場合(おおむね15%以上)には、その外貨建資産等と通貨の種類を同じくする外貨建資産等のうち外国為替の売買相場が著しく変動したもののすべてにつき、期末にその外貨建取引を行ったものとみなして、期末時の為替レートで取得価額の付け替えを行うことができるというものです(15%ルール)。翌期の洗替処理を行わない点が「期末時換算法」と異なります。
企業支配株式等は対象外
この15%ルールには、いくつか注意点があります。一つは「つまみ食い」ができないこと。同じ通貨の外貨建資産等が2以上あった場合に、一部のみを期末時の為替レートに付け替えることはできません。また、企業支配株式等(発行済株式総数の20%が特殊関係株主等に保有される株式)には、このルールは適用されません。
なお、「15%以上」の判定をする際の割合は、原則として個々の外貨建資産等ごとに計算します。ただし、個々に計算が行うことが困難の場合には、同じ通貨の外貨建債権、債務、有価証券、預金又は通貨の区分ごとに計算し、全体で付け替えを行うことも認められています。