4月1日からカスハラ防止条例施行
客からの迷惑行為などのカスタマー・ハラスメント(カスハラ)を防ぐための条例が東京都、群馬県、北海道などで施行されました。条例に基づき東京都で「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)」が公表されています。都の条例では、客や従業員、事業者に対しカスハラを防ぐための対応をとることを責務としています。理念条例であり罰則はありません。
カスハラの定義と事例
条例にあるカスハラの定義は、①顧客から就業者に対し②その業務にかかわる迷惑行為であって、③就業環境を害するもの、としており、ガイドラインではそれぞれの考え方を具体的に示しています。どういった行為がカスハラに該当するのか線引きが難しいという意見を踏まえ、対応マニュアルを作成しています。代表的な例に触れ、
▽撮影した顔や名札を無断でSNSに公開
▽長時間の居座りや電話
▽就業者を拘束する行為
▽土下座の要求
土下座や拘束などの行為は刑法に触れる可能性もあるとしています。
客に対しても「カスハラ問題に対する関心と理解を深め従業員に対し言動に注意を払うことが求められる」としています。
一方で従業員に対しては「客の権利を不当に侵害しないよう留意しなければならない」としています。
事業者に求められる取組
- カスハラ対策の基本方針姿勢の周知
- カスハラを禁止する旨の方針の周知
- 相談窓口の設置
- 適切な相談対応の実施
- 相談者のプライバシー保護措置の周知
- 相談を理由にした不利益な取扱い禁止
- 現場での初期対応の方法、手順の作成
- 内部手続の方法や手順の作成
- 事実関係の正確な確認と対応
- 就業者の安全確保
- 就業者の精神面、身体への配慮
- 就業者への教育・研修
- 再発防止に向けた取組
「カスハラの防止に主体的かつ積極的に取り組み、従業員がカスハラを受けた場合は、安全を確保するとともに、客に止めるよう求めるなど、必要な措置を取らなければならない」としています。