倒産の背景に潜む人手と物価の二重苦
2024年の企業倒産件数は10,006件と、前年に比べ増加傾向にあります。2009年以降は減少傾向にありましたが、2021年を底に再び上昇へと転じました。特に従業員4人以下の小規模事業者が大多数を占めており、人手不足や物価高が主な原因とされています。求人難、人件費の上昇、そして原材料費の高騰により価格転嫁できずに経営が行き詰まるケースが急増しています。加えて、ゼロゼロ融資の返済が本格化する中で、資金繰りへの不安も顕在化しつつあります。
「黒字廃業」にも表れる構造的課題
休廃業・解散件数は一時的に減少していたものの、2024年には再び約7万件へと増加しました。その半数以上が「黒字廃業」という事実も見逃せません。経営自体は成り立っているにもかかわらず、後継者不在や経営者の高齢化、将来不安から事業継続を断念する例が増加しています。特段の法的整理を経ない廃業は、外部から見えにくいながらも深刻な経営リスクを示唆しています。この状況は地域経済における「雇用の受け皿」の喪失にもつながっており、社会的損失も大きいものです。
後継者不在の解消とその陰に潜む焦燥感
帝国データバンクの調査によると、中小企業全体における後継者不在率は減少傾向にあります。しかしその一方で、「70代以上」の経営者による休廃業が顕著に増えており、平均年齢・ピーク年齢ともに上昇中です。これは、事業承継が間に合わず高齢を理由に廃業を選ぶケースが増えていることを意味します。早期の承継準備が喫緊の課題であることは間違いありません。特に承継意向が曖昧なまま時間だけが経過するケースは、外部からの支援がなければ打開が難しくなります。
「見える化」と「他人資本」の活用が鍵
これらの動向を踏まえると、今後の中小企業には、廃業リスクを回避するための「事業承継計画の可視化」と「第三者承継を含めた柔軟な発想」が求められます。親族内承継が困難な場合は、M&Aや外部役員登用を視野に入れるべきです。また、専門家と連携し「経営者保証ガイドライン」や補助金制度の活用を進め、事業の持続性と地域経済への貢献を両立する道が開けます。