中小企業に求められる「個別注記表」とは?
すべての株式会社は、会社法に規定された「計算書類」の作成が義務付けられています。「個別注記表」はその中の書類の一つ。財務諸表の補足情報を文章で提供します。
会計監査人を設置していない非公開会社の場合、法令で義務付けられる注記項目は「重要な会計方針」や「株主資本変動計算書に関する注記」などに限定されています。
中小会計要領のチェック項目
会社が「中小企業の会計に関する基本要領」のチェックリストを金融機関に提出している場合には、その確認項目(15項目)を意識して個別注記表を作成します。
□ 会社計算規則に基づき、重要な会計方針に係る事項、株主資本等変動計算書に関する事項等が注記されているか。
□ 会計処理の方法が変更された場合、その旨、理由等が注記されているか。 □ 中小会計要領に拠って計算書が作成された旨の記載があるか。 |
「重要な会計方針」に係る事項とは?
「会計方針」とは、財務諸表作成のために会社が採用している会計処理の原則、手続、表示方法等の事項をいいます。このうち、次のものが「重要な会計方針」とされます。
① 資産の評価基準及び評価方法
「有価証券」や「棚卸資産」などの資産の評価基準と評価方法を記載します。
評価基準 | 貸借対照表上に計上する価額の基準のこと。「原価法」「時価法」「低価法」など |
評価方法 | 「総平均法」「移動平均法」「先入先出法」などの計算手法のこと |
② 固定資産の減価償却の方法
「有形固定資産」「無形固定資産」「リース資産」の別に「定率法」「定額法」などの減価償却の方法を記載します。
③ 引当金の計上基準
「貸倒引当金」「賞与引当金」「退職給付引当金」などの金額の見積方法を記載します。引当金は、税務上損金算入が認められません。ただし、賞与がほぼ毎事業年度支払われている会社や、退職金規程を有する会社は、中小会計要領などを意識した場合、会計上は引当計上することを検討しましょう。
④ その他
消費税の処理方法などを記載します。