育児休業期間中の給与は無給となる
令和7年4月1日から始まった「出生後休業支援給付金」により、育児休業期間中に雇用保険から支払われる育児休業給付金が、育児休業期間中に無給となった手取り額の実質10割になる改正がされています。
一方、育児休業期間中の給与は無給です。これは、労働者が働いていない分については事業主に賃金の支払い義務が発生しないという「ノーワーク・ノーペイ」の原則に依り、民法第624条(労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない)を根拠としています。
様々な事情で働けなかった場合の賃金払い
(1)遅刻・早退(労働者に責任がある場合)
遅刻は労働者の責任であり、早退は労働者の希望による働いていない時間です。労働がされなかった時間ですので、使用者に賃金の支払い義務はありません。勤怠控除(欠勤控除)によりその時間分を賃金から差し引きます。
なお、就業規則などで“遅刻1回につき〇円減給”とか“遅刻3回で半日分の減給”というような決め方は、労働基準法第91条の減給の制裁に当たりますので注意が必要です。
(2)電車の遅延・自然災害
電車の遅延や自然災害は、労働者・使用者双方の責めによらない事由となりますが、使用者が賃金を支払う義務はありません。なお、遅延証明書の提出で遅刻扱いなしと定めている場合はその運用で構いません。
(3)その他:原則が適用される場合
産前産後休業、育児休業、介護休業、子どもの看護休暇などは無給となります。
(4)原則の適用外:使用者側の責任
生産設備の故障や遅延、経営悪化による休業、事業場閉鎖等、使用者に責任がある場合は、労働基準法上の使用者の責めに帰すべき事由に該当し、使用者は給与の10割もしくは6割以上の支払いをしなければなりません。この割合はそれぞれの事情により変わってきます。
なお、会社都合による待機時間(手待ち時間)は労働していなくとも賃金を支払わなければなりません。
無給にかかる給与計算での給与控除額計算
無給の給与控除額の計算は、会社の就業規則等によりますが、月給を所定労働日数(もしくは所定労働時間)で割って無給分の計算をします。