メーカーの至上命題「生産拠点の最適化」
メーカーにとって、「生産拠点の最適化」は重要な経営課題です。どの企業もあれこれと知恵を絞っていますが、大きくは「集中生産」と「分散生産」の2方式があります。
集中生産 | 1つの工場などに
生産拠点を集約する方式 |
分散生産 | 複数の工場などに
生産拠点を配置する方式 |
一般的には、「集中生産」はコスト削減、リードタイム短縮、品質向上を目指す方式。「分散生産」は、リスク分散と市場へのアクセスを重視する方式と言えるでしょう。
「機械装置の移設費」は損金となるのか?
企業はその時々の戦略に従い、製造ラインの配置を変えることがあります。一般的に「機械装置の移設費」は、その機械装置自体の価値を高めたり、耐久性が増したりするわけではありません。そのため、「修繕費」として、移設事業年度の損金の額に算入されます。しかし、ケースによっては、慎重な判断が求められる場合があります。
<ケース1> 新規の機械装置の導入に伴い、既存の機械装置を配置換えする費用
移設事業年度の損金の額に算入します。
<ケース2> 集中生産若しくは立地条件の改善のために行われる機械装置の移設費(解体費、運搬費、据付費)
⑴ 一の工場から他の工場への移設の場合
解体費は、損金の額に算入しますが、その他の移設費(運搬費、据付費)は、機械装置の取得価額に算入します。その際、その機械装置の移転直前の帳簿価額に含まれる据付費相当額は損金の額に算入します。
移転した機械装置の取得価額
=直前簿価+運賃・据付費-旧据付費 |
ただし、移設費の合計額がその機械装置の移転直前の帳簿価額の10%相当額以下であるときは、旧据付費を損金算入することなく、移設費を移転事業年度の損金の額に算入します。
⑵ 同一工場内での移設の場合
移設により効率がアップするなど効率的であったとしても、同一工場内の移設費は、すべて損金の額に算入することができます。
<ケース3> ガスタンク、鍛圧プレス等、多額の据付費を要する機械装置を移設する場合
<ケース2>⑴の取扱いと同様になります。