生産性を上げ、賃上げへつなげる
人手不足は今や多くの中小企業にとって経営の最前線課題です。求人をかけても応募が来ない、ベテランが退職すると現場が回らない、こうした声を経営者の方からよく伺います。そのような状況を打開する有力な選択肢の一つが、中小企業省力化投資補助金(一般型)です。IoT・AI・ロボット等を活用したオーダーメイド設備の導入費用を補助率1/2(小規模事業者は2/3)で支援する制度で、補助上限額は従業員数に応じて750万円から最大8,000万円です。
「オーダーメイド設備」のポイント
本補助金で最も重要なポイントは「オーダーメイド設備」の要件です。既製品をそのまま購入するだけでは対象外となりますが、複数の汎用設備を組み合わせて導入したり、自社の現場環境に合わせてカスタマイズしたりすれば対象となります。直近の第5回公募の採択事例では、建設業者が油圧ショベル・ICT測量機・油圧ブレーカ等を組み合わせて施工工程を再設計し、1日当たり3.1時間の作業削減を実現した事例が採択されています。重要なのは「省力化の効果を数字で示せるか」です。削減できる作業時間や工程数を具体的に計算し、投資回収期間の根拠も明示することで審査での評価が大きく高まります。
賃上げ要件と返還リスクを正しく理解する
採択されることがゴールではありません。本補助金には3~5年の事業計画期間を通じた義務が伴います。毎年の労働生産性を年平均成長率4.0%以上向上させること、1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増加させることが必須で、給与の目標を達成できなかった場合は達成率に応じて補助金の返還を求められます。また、事業場内の最低賃金を地域の最低賃金より30円以上高く維持することも毎年の要件です。補助金を受け取った後に返還が発生するリスクを十分に理解した上で、無理のない計画を立てることが大切です。
加点項目の事前準備が採択率を左右する
申請書の内容に加え、加点項目の取得も採択率の向上に直結します。事業継続力強化計画の認定取得、中小機構「省力化ナビ」へのアクセス登録、えるぼし・くるみん・健康経営優良法人の認定などが加点対象となっています。現在第7回公募が進行中で、申請受付は7月上旬開始、締め切りは7月下旬が予定されています。