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適格組織再編での対称性・非対称性

兄弟会社の合併と兄弟会社の復活

 個人株主甲の下の100%支配会社AとBを合併する適格組織再編をしたとします。そして、その適格合併後に、B社を個人甲の下に兄弟会社として復活させようとして、A社を分割型分割の適格組織再編をすると、B社が復活します。このように、兄弟会社の合併と、その後一つになった会社の分割型分割による兄弟会社の復活は、適格組織再編税制において対称性のある制度となっており、双方向への適格組織再編は極めてシームレスです。

兄弟会社の親子化と兄弟会社の復活

 個人株主甲の下の100%支配の会社AとBを適格株式交換という手法で100%完全支配の親子会社にすることができます。その後、個人株主甲の下でA社とB社を親子会社から兄弟会社に戻すとしたら、少し厄介です。逆方向の株式交換や子会社株式を個人甲に現物分配(又は株式分配)する手法が適格組織再編とされていないからです。

 でも、不可能ではありません。完全親会社A社について分割型会社分割をして、B社株だけ持つ会社としてA2社を創り、その後、A2社の完全子会社のB社が、完全親会社のA2社を吸収合併する、という手法を使えば可能になります。このように、兄弟会社の親子会社化と親子会社の兄弟会社化は、適格組織再編として可能ではあるものの、双方向への再編はシームレスではありません。

制度の対称性・非対称性について

 株式その他の所有権移転に際して時価課税する税制において、組織再編成については、実質的に支配関係・所有関係が継続していると認識し、課税繰延べにしても問題ないと言える場面に限り、適格組織再編の制度が用意されています。そういう組織再編の制度設計上の課税繰延べ原理からすると、法人株主支配の下での組織再編が中心的な適用対象で、個人株主甲の支配ではなく、法人株主Pの100%完全支配関係下にある親子会社AとBだったら、適格株式交換で法人株主Pの下での兄弟会社化はシームレスに可能になっています。

 個人株主の支配下での組織再編については、課税繰延べの対象にはし難い場面が多く、組織再編の容易化は制限されており、冒頭の合併・分割の所だけが逆に例外の箇所になっています。

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