脱炭素化対応は今や必須
令和6年度の調査では、製造業や運輸業、卸売業などを中心に、取引先から脱炭素化に関する協力要請を受けた企業の割合が高まっていることが示されています。これは企業規模や業種にかかわらず、CO2排出量の把握や削減計画の提示など、具体的な対応が求められている現状を反映しています。排出量可視化ツールの導入や、自治体等が提供する支援制度の活用を進め、環境配慮型経営へ舵を切ることが急務です。
循環型社会への移行準備
サーキュラーエコノミーについては、中規模企業の方が認知度・取組率ともに小規模事業者を上回っています。しかし、調査結果からは依然として多くの事業者が「概念を知らない・分からない」と回答しており、情報不足が明らかです。再利用可能資材の選定、廃棄物の再資源化といった取り組みの一歩を踏み出すには、まず「理解」が不可欠です。業界団体のセミナーや専門家の支援を受け、経営方針に循環性を組み込む体制整備が望まれます。特に製造業・小売業では、調達や販売の現場レベルでの見直しが求められます。
経済安全保障への構えも必要
国際情勢の変動を背景に、サプライチェーンの強靭化やサイバーセキュリティ対策の強化など、経済安全保障に関わる要請が増加しています。これまで直接関係が薄かった業種でも、突然の規制変更や海外調達リスクに直面する可能性がある以上、「備え」が重要です。中小企業としては、取引先の要請を受ける前に、自社の技術情報管理やBCP策定など、基本的なリスクマネジメント体制を見直しておくべきでしょう。
人権尊重は企業信用の礎
人権方針の策定率は未だ低く、特に小規模事業者では対応が遅れているのが実情です。しかし、経済産業省の「責任あるサプライチェーンガイドライン」が示すとおり、人権デューデリジェンスの実施は、企業の信頼性向上や調達選定の条件にもなり得ます。特に輸出入を伴う事業や大手との取引がある場合、取引継続の可否に直結することもあり得ます。中小企業であっても、自社の立場に応じた基本方針の整備と社員への周知を始めましょう。