ハローワーク求人が採用に結びつかない
厚労省は1963年以来ハローワークでの新規求人が採用につながった割合を公表しています。60年代半ばは50%近くに達していたものの、その後は低下傾向でリーマン危機後の2009年の31.9%をピークに急低下しています。2024年には採用に至った割合は11.6%。約9割は空振りでした。
その原因は景気の良し悪し以外の要因が大きく、民間のサービスを使って職探しをする人が増えていることが大きいようです。
厚労省の雇用動向調査によると新たな職に就いた人のうちハローワークで仕事を見つけた人は全体の13.9%でした。最も多かったのは民間サービスの41.9%で縁故も22.6%でした。インターネットやスマートフォンの普及で民間サービスの利用は伸びてきました。手数料を払っても求職者が気楽に閲覧できる民間サービスに載せたい企業が増えています。
採用割合が下がる要因
求人と求職のミスマッチを指摘する面もあり、ブルーカラーの現場作業の募集が多いハローワークに対して事務職のホワイトカラーを求職する人が増えているためミスマッチがあるとの見方があります。
もちろんハローワークもインターネットで検索もできます。しかし求人票の内容が民間に比べると厳格であるとされていますが、必ずしも賃金や休日、福利厚生などが魅力的というわけではありません。スマホ世代にとって操作性の悪さや民間サイトの便利さと比べると見劣りすると映るようです。掲載手数料を支払う企業の求人の方が賃金水準が高いと思われているようです。
ハローワークにおけるAI活用
厚労省も新たな取り組みでAIを活用して職業紹介の精度を高める事業を始めます。
案としてはハローワークにおける職業紹介を行う職員向けに求職者に対する求人レコメンド(お勧め求人)や求人者に対する求人条件緩和案を提示し職員がマッチングに活用すること、利用者にはハローワークインターネットサービスで職業紹介にかかる質問の自動受付、回答などを応答してゆきます。令和7年度中に職員向けにAI活用を実証実施し過去のデータからAIが、求職者と求人者向けのマッチングに役立てるとしています。