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住民税利子割の帰属先

利子割はどんな税?

 預貯金等の利子は利子所得として所得税のほかに住民税の利子割が課税されます。受領時には既に銀行で特別徴収されているので課税されている実感はないのですが、利子割は個人住民税の一つで均等割、所得割、配当割、譲渡所得割と並び、都道府県や市区町村が提供する行政サービスに対して住民が負担する地方税です。

個人住民税は個人の住所地で課税が基本

 個人住民税はその課税目的から個人の住所地で課税されます。均等割、所得割は住所地の都道府県と市区町村で課税され、給与所得者は勤務先で特別徴収して納付します。個人事業者は所得税の確定申告をもとに納税額の通知を受けて納付します。配当割、譲渡所得割は、配当金や譲渡所得を得る者の住所地の都道府県で課税され、株式発行会社や証券会社で特別徴収または確定申告で納付します。

利子割は金融機関の口座所在地で課税

 しかし、利子割の課税は異なります。預金した金融機関の口座所在地のある都道府県で課税されるのです。均等割、所得割等のように預金者の住所地の都道府県とされない理由は、利子割を制度化した昭和63年当時、預金者は一般的に日常生活に密接する近隣の金融機関に預金を預け入れ、口座所在地の都道府県と一致しない状況は多くないと考えられたこと及び金融機関の事務負担に配慮したためとされています。

インターネット銀行の普及が新たな問題に

 ところが近年のインターネット銀行の普及で利子割に新たな問題が生じました。インターネット銀行の店舗はネット上に存在するので、預金者がどこに住んでいようと口座所在地の都道府県で課税されます。その結果、預金者の住所地の都道府県では税収がなくなり、銀行等の本店所在地の都道府県との間で税収の偏在が生じてしまいました。

令和8年度税制改正で結論

 インターネット銀行等の預金残高は2023年3月末で35兆円。過去10年間の平均伸び率13%と成長スピードが速く、都銀の538兆円、地銀の325兆円には及びませんが、今後の動向が注目されています。

 与党の令和7年度税制改正大綱は、利子割の帰属先について金融機関等の事務負担に配慮し、地方公共団体の意見を踏まえ、税収帰属の適正化の方策を検討し、令和8年度税制改正にて結論を得るとしています。

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