酒税は明治時代には国税の中心であり、一時は国税の税収第1位だったこともありました。過去の税収の多さや、室町時代から続くとされる税と酒との切っても切れない関係の歴史を背景に、現在も国税庁が所管官庁として酒の製造や販売についての免許を管理しています。そのためか、「酒税法」で製造や販売の免許についても定められている、ちょっと不思議な状態になっています。
国税庁は「酒税の適正・公平な課税の実現」だけではなく「酒類業の健全な発展」を目標に取組みを行っています。時には「若者のアルコール離れ」を止めるべくキャンペーンを行って一部メディアに叩かれたりもしていますが、他にも様々な酒類振興を行っています。
国税庁は酒税をはじめ、酒類に関する様々なデータを「酒のしおり」で公表しています。令和5年6月公表の酒のしおりを見てみると、酒税の課税額は平成6年度の2.1兆円をピークに減少傾向で、令和3年度は約1.1兆円となっています。少子高齢化・人口減少や消費者の低価格志向、ライフスタイルや嗜好の多様化等により、国内市場は全体として縮小傾向にあるようです。
また、以前は主流だったビールの課税数量が年々減少し、発泡酒やチューハイなどのリキュールに消費が移行しています。
国内では消費量が年々下がっていますが、近年日本酒やウイスキー等の日本産酒類の国際的な評価の高まりを背景に、輸出については年々増加傾向にあります。
令和4年の日本産酒類の輸出金額は、1,392億円で、対前年比21.4%増。初めて1,000億円を超えた令和3年に引き続き好調に推移しています。
日本産酒類の輸出金額は増加しているものの、世界の酒類マーケット全体から見れば、いまだにその金額は0.1%程度にとどまっています。輸出先によっては高い関税や、容器の容量の規制等、国際的な交渉を行わないと課題が解決しないものも多そうです。