日本において少子高齢化が進む中、労働力の確保が社会的な課題となっています。
政府も、次元の異なる少子化対策として、「こども未来戦略方針」を打ち出し、「全てのこども、子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援すること」を基本理念の一つに掲げ、対策強化に乗り出しています。そこでは、企業においても育児支援施策を講じることが社会的ニーズになっています。
日本能率協会総合研究所「令和4年度仕事と育児等の両立支援に関するアンケート調査報告書〈企業調査〉」において、育児支援を推進することで得られた効果を見てみると、「妊娠・出産・育児等を理由に辞める社員が減った42.2%」「社内において子育てしやすい雰囲気が醸成された、仕事と育児の両立に関する理解が促進された34.4%」となっています。特に1位の結果からは、育児支援の効果として「人材定着」への効果が大きいことが窺えます。意欲や能力のある女性の職場定着による活躍はもちろん、男性の育児休業も注目されることから、企業における育児支援は「人材確保」の視点からも、大変有効といえます。また、男子大学生を対象にした調査でも、「育児休暇を取得して子育てをしたい」という男性の割合は年々増加傾向にありますので、若手の人材確保を意識する企業では、男性における育児支援のニーズが高いことは、念頭に置く必要があります。
上記に関連して、企業が育児支援策を実施するにあたり注意したいのは、支援策について男女全ての従業員を対象にすることです。
従来の育児支援といえば、女性従業員のためと捉えられがちでしたが、時代の移り変わりとともに、積極的に育児に関わりたいという男性のニーズも高まっていますので、多様な価値観を尊重した、男女ともに仕事と子育てを両立できる職場であることをメッセージとして打ち出し、少しでも、小さな一歩でも先んじて、育児支援に取組み、人材確保の面で他社との差別化を図っていきましょう。